今回はタイトルにある通り、『水素』についてです。

ここ数年、水素風呂、水素水、水素トリートメントなど、至る所で水素というワードを聞くことが増えました。

なんとなくいいイメージで『水素』というワードを使っていますが、じっさいには効果があるのでしょうか?

髪質改善に詳しい美容師の回答:効果は期待できません。

あくまで現時点では。ですが、美容や健康に関しては十分なエビデンスとなる論文などがまだ発表されていません。

水素による毛髪の酸化損傷抑制効果

↑こちらの論文によると、

  1. 健康毛で2つのサンプルを作り、
  2. 両方ともブリーチ30分を2回繰り返す。
  3. 片方は水洗いしてそのまま。A
  4. もう片方はブリーチ後に水素を発生させた水溶液につけ、クエン酸で髪のphを等電点付近(約ph5.5)に整える。B

その結果AよりBの方がキューティクルの剥がれが少なくてダメージ侵攻も抑えられていた。とのことです。

この結果を見ると、水素はダメージ毛に効果的な気がしますよね??

ですが

  1. 水素ではなくとも、他の処理剤でも同じ効果が得られること。
  2. Bの結果は水素ではなくクエン酸によるアルカリ除去、収斂効果の可能性が大きいこと。

という問題点があります。

髪はダメージが進むと親水化して水を吸いやすくなります。

ですが乾かすと、水分を捕まえておくタンパク質類が少ないので、乾くと乾燥した髪に戻ってしまいます。

なので、いくら髪の中に水素の力を使って水分を発生させても、髪が生き生きとする道理がないのです。

また、髪がアルカリに触れるとキューティクルが開き(柔らかく感じる)、酸性に触れるとキューティクルが閉じる(はりや弾力を感じる)性質があります。

ですので、カラーやパーマ後に酸であるクエン酸をかけると、かけてない方に比べてキューティクルが閉じ、艶やかになるのは当たり前です。

実際に美容院では、他の処理剤の方が有用であることが多い。

私のお客様はハイダメージになってしまい、助けを求めてご来店される方が多いです。

そのため、ありとあらゆる髪のダメージに対して効果のありそうな物を試してきましたが、現時点で特に有効なものは

  • 疎水性のケラチン
  • タンニン
  • ヘマチン
  • セラック
  • 油分

などを複合的に処方するのが効果的です。

私の中のイメージでは、

  1. ヘマチンでアルカリで荒れた毛髪を鎮め
  2. 低分子の疎水性ケラチンやタンニンでダメージホールの穴埋め・架橋でハリや弾力を生み
  3. セラックで流出しづらく内部を整え
  4. クエン酸などの酸リンスでケラチン、タンニン、セラックを固定
  5. 油分を吸わせて艶としなやかさを演出

ケラチンにも他の成分にもまたいろいろな種類があるのですが、大まかな流れとしてはこういった手順を踏むことが多いです。

実際にこれで一定の効果が出ているので、あながち間違った方法ではないのかなと思っています。

 

現在(19/9/18)自宅でハイダメージ毛のケアができるオリジナルシャンプーやトリートメントなどのホームケア一式を開発中です。

工場が千葉にあり、この前の台風の影響で稼働がストップしているので完成が遅れてしまいそうですが、出来上がりましたら、また報告させていただきます。